「エアコンつけて」のたびに設定が変わる問題を、ECHONET Lite + Home Assistant + Matter で片付けた話

投稿者: | 2026年9月23日

3 台のエアコンが、Nature Remo・SwitchBot・純正アプリの 3 つの経路からバラバラに操作されていて、「エアコンつけて」と言うたびにモードや温度が変わってしまう。そんな状態を、ECHONET Lite の直接制御と Home Assistant + Matter でまとめて解消した記録です。

作業自体は 2026 年 9 月 21〜23 日の 3 日間。やってみて一番おもしろかったのは、構築そのものより「運用し始めてから出てきた変な挙動」のほうでした。

TL;DR

  • エアコンは 赤外線をやめて、ECHONET Lite(LAN 内・双方向)で Home Assistant から直接制御するようにした
  • 全機器を Home Assistant に集約し、Matter ブリッジで Alexa / Google / Apple Home の 3 つに同じ機器セットを公開した
  • 実運用では、「最初の Set が拒否される」「Siri だけ挙動が違う」「純正アプリと取り合いになる」など、複数経路・複数実装ならではの問題に出会った
  • 最終的な運用ルールは「エアコンの操作は Home Assistant 経由に一本化、純正アプリは確認専用

1. もともと何に困っていたか

うちは書斎・寝室・リビングの 3 部屋にエアコンがあり、各部屋に Amazon Echo と Google Nest、Nature Remo が置いてあります。リビングにはさらに SwitchBot Hub Mini。

困っていたのは 2 つです。

① スピーカーごとに使える機能が違う

Echo でできることと Nest でできることが微妙に違っていて、家族が「これはどっちに言えばいいんだっけ」と使い分けきれていませんでした。

② 「エアコンつけて」の結果が、経路次第で変わる

こっちが本題。エアコンへの操作経路が、

  • 経路 A:スピーカー → Nature Remo → 赤外線
  • 経路 B:スピーカー → SwitchBot → 赤外線
  • 経路 C:純正アプリ → メーカークラウド → エアコン

と 3 本ありました。

赤外線リモコンは 一方向通信 です。送るだけで、エアコンが今どういう状態なのかは読めません。なので Nature Remo も SwitchBot も、それぞれ「自分が最後に送った設定」を別々に覚えていて、それを元にリモコン信号を組み立てて送ります。

結果、「エアコンつけて」と言うと、どのスピーカーがどの経路で送ったかによって、冷房だったり除湿だったり、温度が違ったりする。これが地味にストレスでした。

ちなみに前提として、パナソニックはエアコンのスマートスピーカー連携を 2025 年 9 月 16 日に終了しています。純正アプリでの遠隔操作だけは今も使えます。

2. 方針:ECHONET Lite で直接しゃべって、入口を 1 本にする

Home Assistant にたどり着くまで

実は最初から Home Assistant を入れるつもりだったわけではありません。

もともと、SwitchBot と Nature Remo の API を叩いて温湿度を集める自作アプリ(Flask)を動かしていました。なので最初は、「このアプリを改修して、エアコンも API 経由で操作できるようにすればいいか」と考えていました。

その改修方針を Claude に相談していたところ、「問題の根本は、エアコンへの操作経路が複数あること」と指摘されました。たしかに、自作アプリからの API 操作を足しても、経路がもう 1 本増えるだけ。「最後に送った設定」を覚えている場所がまた増えて、むしろ状況は悪くなります。

そこで発想を変えて、「経路を足す」のではなく「経路を 1 本にまとめる」方向で考え直した結果が、今回の構成です。

方針

問題の根っこは「経路が複数あること」と「赤外線が一方向であること」の 2 つ。なので方針もシンプルです。

  1. エアコンは ECHONET Lite で直接制御する。LAN 内で双方向に通信できるので、状態(電源・モード・設定温度)を読んだうえで操作できる
  2. 全機器を Home Assistant に集約する
  3. Matter ブリッジで、Alexa / Google / Apple Home に同じ機器セットを公開する。どのスピーカーに話しかけても、最終的には同じ Home Assistant を通る

ECHONET Lite は、日本の家電・住宅設備向けの通信規格です。対応エアコンなら、LAN 内から UDP で状態を読んだり設定を書いたりできます。

使ったソフトウェア

役割使ったもの
ホームオートメーション基盤Home Assistant(Container 版、host ネットワーク)
ECHONET Lite 統合HEMS Echonet Litesayurin/hems_echonet_lite、HACS 経由)
Nature Remo 統合hass-nature-remohannoeru/hass-nature-remo、HACS 経由)
SwitchBot 連携SwitchBot Cloud(Home Assistant 標準統合)
Matter ブリッジHome Assistant Matter HubRiDDiX/home-assistant-matter-hub
導入補助HACS(Home Assistant Community Store)

Matter Hub は、元の t0bst4r/home-assistant-matter-hub が 2026 年 3 月にアーカイブされていて、README でも RiDDiX 版のフォークへの移行が案内されています。これから入れる人はフォーク版を使うのがよさそうです。

エアコンは 3 台ともパナソニックのエオリア(CS-EX367C、CS-220DFX、CS-220DGX)です。

3. 検証編:Set コマンドがなぜか拒否される

いきなり Home Assistant に入れる前に、まず ECHONET Lite で本当に制御できるのかを確認しました。

状態の取得(Get)は 3 台とも問題なし。ところが制御(Set)をやってみると、3 台中 2 台で、運転開始直後の最初の Set コマンドがエアコン側から拒否されました。ECHONET Lite のエラー応答(Set 不可)が返ってくるやつです。

同じコマンドをもう一度送ると、普通に成功します。

原因ははっきりとは分かっていません。今のところの仮説は「エアコン側で別の制御(純正アプリのクラウド連携など)が状態確認をしている最中に、こちらの書き込みがぶつかった」というもの。

家電のプロトコルを直接叩くと、こういう「規格どおりには動くけど、タイミング次第でコケる」場面に出会います。実運用では、1 回拒否されても再送すれば通る、くらいに構えておくのが現実的かなと思っています。

4. 統合編:Home Assistant と Matter ブリッジ

ここは割と素直に進みました。

  1. Home Assistant(Container 版)を自宅サーバーに立てる。ECHONET Lite はマルチキャストで機器を探すので、host ネットワークで動かしています
  2. HACS を入れて、ECHONET Lite 統合と Nature Remo 統合を追加
  3. SwitchBot Cloud は標準統合で追加
  4. Nature Remo と SwitchBot の エアコン登録は削除。赤外線の経路を残すと、また「経路ごとの記憶」問題が復活するので
  5. Matter ブリッジ(Home Assistant Matter Hub)を入れて、Alexa / Google Home / Apple Home の 3 つとペアリング

エアコン以外(温湿度計やサーキュレーターなど)は、そのまま SwitchBot Cloud / Nature Remo の統合経由で Home Assistant に集約しています。Remo や SwitchBot 側で組んでいた自動化も、Home Assistant のオートメーションに移しました。

もう一つ、2 章で触れた自作の温湿度収集アプリにも、エアコンの状態を記録させるようにしました。このとき アプリから ECHONET Lite を直接叩かせない のがポイントで、Home Assistant の REST API から読み取るだけにしています。エアコンに話しかける主体を増やすと、後述の「取り合い」問題の種になるので。

5. 実測編:スピーカーによって「つけて」の中身が違う

構成ができたので、「エアコンつけて」を 3 系統(Alexa / Google / Siri)× 3 部屋で試しました。

分かったのは、Matter 経由で届くコマンドが、スピーカーによって違う ということです。

  • Alexa・Google:単純な「電源オン」のコマンド。エアコン本体が覚えている前回のモード・温度で起動する
  • Siri(Apple Home):「運転モード」そのものを書き込むコマンドで届く

普段はどちらでも結果は大差ないんですが、これが効いてきたのがこの事件です。

Apple Home 側で、エアコンの部屋の割り当てを間違えていた状態で「エアコンつけて」と言ったら、3 台同時に、しかも室温 25〜26℃ なのに暖房で起動した

すぐ気づいて手動で止めました。原因は Apple Home 側の部屋の割り当てミスで、直したら再現しなくなりました。

「電源オンだけ」なら、部屋を間違えても前回の設定で動くだけで済みます。でも「モードを書き込む」実装だと、間違ったときの影響がモード選択まで及ぶ。音声アシスタントの実装差が、実際の家電の動きにそのまま出るんだなあ、というのが実感です。Apple Home を使う人は、部屋の割り当てを最初にちゃんと確認しておくのがおすすめです。

6. 運用編:純正アプリと Home Assistant の取り合い

移行後もしばらくは、外出先からの操作に純正アプリを併用していました。そうしたら、こんなことが起きました。

  1. 外出先からアプリで 26℃ に設定
  2. 帰宅すると 28℃ になっている
  3. アプリで直しても、また 28℃ に戻る
  4. Home Assistant から操作したら、今度はアプリ側に「他の機器で操作中」というエラー

調べてみると、Home Assistant の ECHONET Lite 統合は、バックグラウンドで約 60 秒間隔でエアコンに状態取得(ポーリング)をかけ続けて います。純正アプリのクラウド経由のコマンドとこのポーリングが、エアコン側でタイミング的にぶつかっていた可能性が高い、というのが今の仮説です(3 章の Set 拒否とも、たぶん根っこは同じ)。

結論として、運用ルールを決めました。

  • エアコンの操作は Home Assistant 経由に一本化
  • 純正アプリは確認専用(操作には使わない)

外出先からの操作は、Alexa / Google Home / Apple Home の各アプリ(クラウド連携)で代わりにできることを確認済みなので、困ることはありません。

「経路をまとめる」ために始めた作業なのに、最後に残った別経路でまたハマる、というオチでした。制御経路は、併用すると本当に怖いです。

7. おまけ:エアコンに「ピッ」と鳴らさせる

赤外線リモコンや純正アプリで操作すると、エアコン本体が「ピッ」と鳴りますよね。ところが ECHONET Lite 経由だと無音。操作が届いたのかどうか分かりにくい。

調べてみると、ECHONET Lite の家庭用エアコンクラス(0x0130)には、「ブザー」のプロパティ(EPC 0xD0)が定義されて いました。しかも HEMS Echonet Lite 統合が、対応している機種に対しては自動で「Buzzer」のボタンエンティティを作ってくれていて、追加の実装は何もいりませんでした。

3 台中 2 台が対応、残りの 1 台(型番が違う個体)は非対応でした。

これを使って、「エアコンを操作するたびに、自動でブザーを鳴らす」オートメーションも作りました。音声で操作したときも「ピッ」と鳴るので、ちゃんと届いたのが分かって安心です。規格のマイナーな仕様が、地味に便利。

8. まとめ

Before / After を並べると、変わったのはこの 2 点です。

BeforeAfter
エアコンへの経路Remo・SwitchBot・純正アプリの 3 本Home Assistant 経由の 1 本
通信の向き赤外線(一方向・状態は読めない)ECHONET Lite(双方向・状態を読める)

やってみて分かったこと:

  • 赤外線の「一方向」は、複数経路と組み合わさると本当に厄介。状態を持つのが送信側になるので、経路の数だけ「別の真実」ができる
  • ECHONET Lite は便利だけど、機器側の実装にはクセがある。Set の拒否や、他の制御経路との衝突は起こりうる前提で考えたほうがいい
  • Matter でエコシステムをまとめても、音声アシスタントごとの実装差は残る。「つけて」がモード書き込みになる実装もある
  • 最終的に効くのは運用ルール。技術で経路を 1 本にしても、人が別経路を使えば元に戻る

9. 次にやろうと思っていること

Home Assistant を、ラズパイ + Home Assistant OS に移すか

今は自宅サーバー上で Home Assistant を Container 版 で動かしています。これを、Raspberry Pi に Home Assistant OS を入れて専用機にするかどうかを考え中です。

きっかけは、Container 版では「アプリ」(旧称アドオン)が使えない こと。アプリは Home Assistant の横で動く周辺ソフトで、Home Assistant OS が管理する仕組みになっています。2026.2 で「アドオン」から「アプリ」に名前が変わりました。

Container 版でも、同じソフトを自分でコンテナとして並べれば動かせます(今の Matter Hub がまさにそれ)。ただ、画面からポチッと入れて、アップデートやバックアップも Home Assistant 側で面倒を見てもらえる OS 版のほうが、管理はだいぶ楽そうです。

なお Home Assistant は 2025 年に、公式サポートするインストール方法を Home Assistant OS と Container の 2 つに絞って います。どちらを選んでも「サポート外になる」心配はないので、純粋に「管理の楽さを取るか、今のサーバーに同居させる身軽さを取るか」の判断になりそうです。

ドウシシャのサーキュライトを、Google からも動かしたい

エアコン以外の機器もだいたい Home Assistant に集約できましたが、まだ残っているのが ドウシシャのサーキュライト(照明とサーキュレーターが一体になったやつ)です。これが今のところ Alexa からしか操作できません

Home Assistant に取り込めれば、Matter ブリッジ経由で Google や Apple Home からも同じように動かせるはず。まずは、Home Assistant から制御する手段(統合があるか、ローカルで制御できるか)があるのかを調べるところから始めるつもりです。

同じように「スマートリモコンが増えすぎてカオス」になっている方の参考になればうれしいです。


注記:この記事は、生成 AI(Claude)を使って執筆しています。作業の記録や検証結果は筆者自身の環境でのものですが、文章の構成・執筆に生成 AI の支援を受けています。内容には注意を払っていますが、誤りがあればご指摘ください。

カテゴリー: IT

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